永代供養と一口に言っても、現在では寺院が遺族に代わって墓所や遺骨の供養や管理を行うといった従来の意味合いだけではなく、近年注目度が高まっている新たなタイプの墓所である永代供養墓の名称にも使われるようになったことで、そちらのイメージのほうも広く世間に浸透し始めています。
ここ数年で子孫の代までお墓の管理で面倒をかけたくないと考える人が急増し、個別の墓所を持たず海に散骨する海洋葬などの自然葬や遺骨をオブジェやアクセサリーなどにして自宅で供養する手元供養、ロッカー式の都市型納骨堂など墓所や埋葬という考え方を超えた方法が目立つようになりました。
その点、永代供養墓は合祀ではあるものの、墓参に行く先があるということで自宅近郊に建てられた墓所への埋葬を望む人に支持されています。
合祀形式ということで一般的な墓所区画の拡張が難しい寺院や霊園でも新設しやすいこともあって、都市部でもさまざまなタイプの永代供養墓が増え、遠方にある先祖代々の墓所を墓じまいした後の改葬先としても注目されるようになっています。
自家用車でなければ墓参に行けないような郊外の霊園よりは自宅からアクセスしやすい場所にある合祀の墓所に改葬するほうが高齢世帯にとって大きなメリットとなりますが、親族同士で思わぬトラブルが生じる可能性もあります。
墓所にまつわるトラブルでは墓じまいに関するものが少なくなく、墓じまいの実行を後日知らされた親族からクレームが来るなど話し合いの不足が原因というケースが目立ちます。
永代供養墓の場合は永代の供養ということで初期費用としての管理費などを支払うことで文字通りの永代で供養と管理を行ってもらえると考える人が少なくありませんが、施設によってはあらかじめ年数が決められており、それ以降は無縁仏のように完全に合同の埋葬地に移されるケースもあります。
墓所の形式も合祀ということで墓石となる一つのモニュメントのもとに個別の納骨室が設けられているタイプもあれば、最初から合同の納骨室に遺骨を納めるタイプの墓所もあり、事前によく確認しておかなくては後々トラブルになりかねません。
合祀形式や自然葬人気の高まりは、個別の墓所区画に墓石を建てる従来形式よりも費用が抑えられる点にもありますが、合祀形式の場合は価格の違いによって埋葬の仕方や供養・管理の年数に大きな違いが出て来るため、単純に安価であることを基準に選んでしまうとデメリットのほうが目立つことになってしまいます。
永眠の地であることを念頭に置いて、慎重に選ぶことが大切です。(スタッフ)